音が関わる作業(ライブ配信・ゲーム実況、YouTube、DTMなど)をするときに必要なオーディオインターフェースについてまとめました。
パソコンやスマホと上でご紹介したマイクは直接繋ぐことができません。パソコンやスマホのマイク端子に無理やり接続することはできますが、そこから入ってくる音ではマイクの性能が台無しです。
そこで、このような時には「オーディオインターフェース」と呼ばれる機器を使います。USBやThunderboltでパソコンやスマホと繋ぐ「音の出入り口」のようなものです。
これがあればヘッドホンアンプという機材を別に用意する必要はありません(オーディオインターフェースの中にヘッドホンアンプを内蔵しています)。
長く使える1台を持っておくとしたら、この2機種をおすすめしています。
ヤマハのAG03MK2。配信中にせきやくしゃみをしたくなった時などに便利なフェーダーやミュートスイッチ、リバーブ(残響、音を響かせるエフェクト)のオンオフやパソコンからの音声のボリューム調整などがすべて手元のスイッチでコントロールでき、リアルタイムの配信を意識して作られていることがわかります。
先代のAG03から大人気の機種で、コロナ禍の巣ごもり需要で長期的な品切れが発生していました。
パソコンの音声(BGMなど)を乗せて配信したいときに便利な「ループバック」と呼ばれる機能を搭載しています。
片手で持てるコンパクトなボディの中に、便利な端子やスイッチを詰め込んだ「かゆいところに手が届く」1台です。
ドイツのソフトウェア・音響機器メーカーSteinberg(スタインバーグ)のUR22C。
AG03ではマイクは1本しか使わない想定でしたが、こちらは2本を同時に接続できるので、例えばギターの弾き語りではボーカルとギターにそれぞれマイクを使って同時に録音することができます。
また、AG03のビットレート(とても大まかにいうと音量の表現力)は24bitですが、このUR22Cはワンランク上の32bitであり、DTMや収録を想定して作られています。
ループバック機能はこのUR22Cにも搭載されています。
こちらも大人気の機種で、コロナ禍では長らく入手困難でした。
マイクから出てきたアナログ信号はデジタル機器であるコンピュータ(パソコンやスマホ)の中では扱えないため、デジタル信号に変換する必要があります。
逆にコンピュータの中の音声はデジタル信号なので、アナログ機器であるスピーカーで扱うにはアナログ信号に変換する必要があります。
これらの変換をするのがA/D・D/Aコンバータと呼ばれるしくみで、オーディオインターフェースにもこのしくみが内蔵されています。
アナログ信号の音声はなめらかな波のような形をしていますが、これをデジタル信号に置き換えるために、曲線を「縦」と「横」の直線に置き換えるようなイメージのPCM (Pulse-code modulation) という方法があります。
オーディオインターフェースのほとんどはPCM方式のため、ここでもPCMを前提に話を進めます。
この置き換えが雑なほど音質は劣り、逆に細かいほど元の音に近くなり、「横」の置き換えの細かさをサンプリングレート、「縦」の細かさを量子化ビット数という数値で表します。
サンプリングレートは1秒間に何回波の値を読み取るかを表し、Hz(ヘルツ)という単位で表されます。
一方、量子化ビット数は波の高さ(つまり音量の変化)を2の何「乗」段階で記録するかを表し、bit(ビット)という単位で表されます。
例えばCDの規格ではサンプリングレートは44.1kHz(44100Hz)、つまり1秒間に44,100回波を数値に変換し、量子化ビット数は16ビット、つまり2の16乗(65,536)段階の音量を表現できます。
最近ではこれを超えるサンプリングレート・量子化ビット数の音源が「ハイレゾ」とも呼ばれています。
また、表現できる音の高さの上限はサンプリングレートの半分になります(44.1kHzのCDなら22.05kHzとなり、人間の限界20kHzをわずかに上回っています)。
このサンプリングレートと量子化ビット数とチャンネル数を掛け合わせたものがビットレートと呼ばれ、音声ファイルの情報量の多さや音質を表しています。
オーディオインターフェースでどの程度の音質で入力・出力できるかを調べるには、サンプリングレートと量子化ビット数を見ます。
現在は低価格〜高価格なものまで24bit / 96kHzや24bit / 192kHzという性能のものが標準的で、スペックとしてはこれで十分でしょう。
24bitのものは16bitのものに比べてノイズのレベルや編集による劣化を抑えられるとされています。
オーディオインターフェースには個性があり、同じサンプリングレート・量子化ビット数であっても使うオーディオインターフェースによって音が変わるので、これがオーディオインターフェース選びの面白いところでもあります。
オーディオインターフェースにACアダプタを繋いでコンセントから電源を取る「セルフパワー」というタイプと、USBやThunderbolt経由でコンピュータ側から電源を供給する「バスパワー」という2つの方式があります。
もしマイクを使った録音やピックアップを使う楽器の入力だけを考えている場合、入力チャンネルは1つ、出力チャンネルはL(左)とR(右)の2つで十分でしょう。
バンドの同時録音や多チャンネルスピーカーを使う場合などはそれに応じた入出力が必要になります。
チャンネルについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
マイクを使った録音やピックアップを使う楽器の入力だけを考えている場合、入力はコンボジャックが1〜2つ、出力はフォーン・XLRのいずれかが2つで十分でしょう。
端子について詳しくはこちらの記事で解説しています。
モニタースピーカーはAmazonや楽天でも買うことができますが、あわせて価格をチェックしておきたいのが日本の楽器・音響機器の総合販売店であるサウンドハウスです。
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実はオーディオインターフェースにもそれぞれ音のキャラクターがあり、それがオーディオインターフェース選びの難しさ(楽しさ)のひとつでもあるのですが、ひとまずは最初の1台として長く使える・誰でも知っているもののキャラクターに慣れておけば、新しく選ぶときに相談しやすくなるでしょう。
小山和音
こやま・かずね
世界にひとつだけのオリジナルの楽器をデザインし、五線譜ではない楽譜やドレミではない音律をグループで話し合って作り、それらを使って音楽をゼロから創作する音楽教育プログラムを中心に、音(楽)にまつわるユニークな取り組みをしています。お仕事のご依頼やコラボレーションのご提案など、お気軽に!