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病気や障がいでうまく演奏できない場合の対処法3つ

公開 2021年5月15日
更新 2022年6月10日
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このようなご相談をいただくことがあるので、Q&Aのひとつとして公開します。少しでも参考にしていただければ幸いです。

病気・障がいを持っていて、うまく演奏できません。

音楽の先生からはとにかく練習するように言われています。

どうしたらよいでしょうか?

もくじ

楽器が人間に合わせるべき

私は、大半の人ができることが「普通」「当たり前」だとは考えてはいませんし、質問者さまのお悩みの原因となっている身体の状態(世の中ではそれを病気や障がいと呼ぶのかもしれませんが)というのはいわば「個性」や「身体の特徴」と捉えています。

世の中にある楽器というのは、基本的に演奏者のほうが楽器に合わせなくてはいけません。しかし、私としてはその逆、つまりひとりひとりの個性や身体の特徴に合った楽器というのは選択肢としてあるべきだと考えています。

まずは考え方から変えてみよう

ところが世の中のほとんどの人は視野が狭く、「楽器はこうあるべき」「あなたがそれに合わせるべき」「そのためには練習するしかない」「ここから先は高等テクニックなのでまずは基本をおさえるべき」というような発想に陥ってしまいます。

特に日本には「よく見かける・たくさんの人が使っているからこれが正統派の楽器」「それ以外は邪道」というような捉え方をする人が多いので、身体の状態がどうであってもとにかく「普通の楽器」を買って「普通の練習」をするしかない…と思い込んでしまっても無理もありません。

どの楽器を「普通」「当たり前」とするかはその人の感覚次第ですので私は何も言いませんが、その感覚を他人に押し付けたり、それが「当たり前」のように振る舞うのは少し乱暴だと感じます。

3つの方法

もし私が質問者さまなら、今ある楽器と組み合わせて使えるツールを探したり、新しく自分の特徴に合う楽器を新しく作ります。

弦を勝手に振動させるツール

例えば、弦に近づけるだけで(触れなくても)弦を振動させるツール。

ツールを自作するツール

また、既存のツールで自分に合ったものがなければ、このようなものを使ってツールそのものを自作しまうことも可能です。

ホイールが弦をこすって音を出すツール

指で弦をはじくのが難しいようであれば、このような腕で押すと弦をこすって音を出すツールもあったのですが、2022年6月現在、入手できなくなってしまっているようです。

そもそも「楽器」は必要ない

このようなコントローラーやツールはあまり知られていませんが、表現のひとつとして取り入れている音楽家はたくさんいます。

もしこういったツールを否定したり、邪道扱いするような方がいたとしても、それはその方々の視野の問題なので深く考える必要はありませんし、そこで立ち止まってしまっては可能性を捨ててしまうことにもなります。

そもそも現代ではプログラミングや3Dプリンターの敷居がとても低くなったので、新しい楽器を作るのはまったく難しいことではありませんし、そもそも「楽器」らしいツールがなくとも音楽をつくることは十分可能です。

このように音楽表現の方法がぐっと広がったのはここ10年くらいの話なのですが、価値観の古い人々はそれをまだ知らないか、知っても受け入れられない・ついていけない、ということがほとんどです。

ですので、もちろん質問者さまには視野を広く持っていただければ安心ですし、物事を肯定的に捉えることのできる仲間や、尊敬できる人というのはご自分で積極的に、自信を持って選んでよいと思います。

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筆者
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小山和音
こやま・かずね

音楽教育の新しいかたち作り(創造性と個性を最優先に、音楽を教えず、評価せず、楽器や楽譜を自分でデザインしてゼロから音楽をつくるオンラインの音楽教室)と、音の生まれるしくみ作り(周囲の条件に反応して音楽や音声をリアルタイムに生み出すシステム開発)。

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