2014年5月2日、ニュージーランド北島・オークランドから南に約100kmのRaglanにあるエコフレンドリーなキャンプ場”Solscape Eco Retreat”へ行ってきました。
公式サイトはこちら。
http://www.solscape.co.nz/
オークランドから2時間ほどの小さな街Raglanからさらに海側へ10分ほど走ると、左手にSolscapeの看板が現れます。蛇行しながら急斜面を登っていく道ですが、斜面はきれいに舗装されています。Raglanはサーフィンやカヌーなどマリンスポーツが盛んで、いたるところでサーフボードや船を積んだ車を見かけます。
場所はこちら。
ここで定期的に開かれるパーマカルチャーデザイン(PDC)の講師を務めるフィンさんに、この場所について伺いました。
このSolscapeの運営者はたったの2人で、昔はマオリ(ニュージーランド先住民)の人々の海と山とを結ぶルートだったそう。ここの大きな特徴は、エコビレッジらしいシステム(オフグリッド、パーマカルチャー菜園、太陽熱温水器、コンポストトイレ…)を揃えていながら、それを使うのは住人ではなく、ここに滞在する宿泊客だということ。
自然のシステムを参考に、自然エネルギーを可能な限り多く利用して、なるべく人に負担がかからないよう工夫されたパーマカルチャー菜園。
土づくりの家、アースドーム。チューブ状の土嚢にその土地の土や砂、セメントを入れて滑り止めの有刺鉄線を挟んだりしながらドーム状に積み上げ、最後は土嚢を剥がして表面を漆喰やセメントで塗り固めて作る、冬は暖かく夏は涼しい建築物です。(2015年追記:土づくりとはいえ、漆喰やセメントを組み合わせた構造は2015年4月のネパール地震に耐え、その耐震性を証明しています)
太陽熱温水シャワー。このSolscapeは「教育」を大きなテーマとして扱いますが、お湯が終わって出なくなったりという「イベント」が、個人の学びに繋がるといいます。
水道は湧き水と雨水を使い分けているそうです。電気はソーラーで独立しているものが目立ちますが、ニュージーランドは電気料金が安く、原発で作られた電気ではないため、持続可能なコミュニティでもメインパワー(電線から引く)というところは多くあります。
使われなくなった電車を滞在施設として改造してあります。70-80年代にキャンプ場として使われ始めた頃からあったものを、今のオーナーになってからも続けて使っているそうです。
「電車」の中。奥行き17mの空間の中にベッド・テーブル・キッチン・トイレ・シャワー・冷蔵庫がすべて揃っています。
一番奥のティピにも宿泊可能です。
その他ヨガ、サーフィンレッスン、マッサージ、期間を限定して開かれるConscious Cafeなど、この環境をいかした試みはたくさん行われています。
少なくともニュージーランドでは、このようにパーマカルチャーのシステムを気軽に見学できたりアースドームに宿泊できるところは珍しいので、ファームステイやWWOOFとはまた違った体験ができるのではないでしょうか。
Solscape
611 Wainui Road
Raglan 3297, New Zealand
http://www.solscape.co.nz/
小山和音(こやま・かずね)
オランダ在住の音楽家。「評価しない・教えない・自分たちで作る」にフォーカスしたオンラインの音楽学校、音声や音楽に特化したソフトウェア開発、音や音楽を扱うワークショップや講座、音楽レッスン、作曲・即興演奏などを本業としています。
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