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音響的な視点からみた、騒音への7つの対処法

2016年4月15日

騒音に悩まされているとき、音楽でかき消すのもひとつの手ですが、逆にこちらが近所迷惑になったり自分が耳を痛めたり、集中の妨げになってしまう可能性があります。当事者どうしの話し合いや訴訟などではなく、音響的な視点からみた7つの方法をまとめました。

1 滝のような音を流す

滝のような音は低い音から高い音までいろいろな音の成分がまんべんなく入っていて、なおかつずっと続く音であるため、他の音をかき消す(マスキングする)のに向いています。上の動画でもいいですし、「滝」や「waterfall」で検索して見つかった動画の中からお気に入りの滝の音を流してみてください。

滝は滝でも次の条件に近いほど効果は大きいです。

  • 水の量が多い(→低い音の成分が多い)
  • 滝の落差が大きい(→高い音の成分が多い)
  • 滝の近くで撮っている(→高い音の成分が減らずに聞こえる)

テレビやラジオのチャンネルが合っていないときの「ザー」という音(ホワイトノイズ、俗に言う砂嵐)でもほぼ同じですので、あえてチャンネルを合わせずに砂嵐を流し続けるというのも手です。

ただしパソコン、スマートフォンやテレビ内臓のスピーカーは構造上、高い音に比べて低い音が出ないため、次のような低い音が出せるスピーカーから流すと効果が高まります。高い音に比べて低い音は他の音をかき消す(マスキングする)力が大きいためです。しかし低い音は壁や床、天井を伝って近所へ伝わりやすいですので、音量に注意しましょう。

同じ水音でも川の(せせらぎの)音は、滝の音に比べて音の成分が少し違うためマスキングの効果としては滝の音が勝ります。

波の音も音の成分としては滝の音にそっくりですが、連続した音ではないので波が引いて音が小さくなるタイミングでまだ騒音が気になるようであればやはり滝の音がよいでしょう。

音響機器メーカーのBOSEからは、波の音、雨音、滝の音などを流して騒音をマスキングをするワイヤレスイヤフォンのような製品も発売されています。これは耳の中にすっぽり収まるデザインなので、つけたまま横になったり、そのまま一晩を過ごしたりすることができます。

2 耳栓をする

上の音をイヤホンやヘッドフォンで長時間大音量で流すのは耳にとって良くないため、おすすめしません。できるだけスピーカーで流しつつ、このようなスポンジ製の耳栓を使うとさらに効果的です。

上の記事で紹介している音楽用耳栓は遮音性能ではなく音のバランスを重視したものですので、騒音対策として使うのであれば一般的なスポンジの耳栓で十分でしょう。

耳栓の遮音性能(どのくらい音を小さくできるか)は「dB(デシベル)」という数値で表されているので、この数値が大きいほど音を小さくできることになります。

3 窓を開ける

市街地にお住まいで、なおかつ騒音が同じ建物の中からの場合、窓を開けると案外気にならなくなることがあります。日中の街は低い音から高い音までいろいろな音が入り混じっているので、1には劣りますが少しは紛れるかもしれません。

4 変化の少ない音を流す

変化が極端に少ない「アンビエント(ambient)」や「環境音楽」と呼ばれるジャンルの音(音楽)の中には、外から聞くと掃除機や換気扇の音にしか聞こえないものもあるので、近くの方に気を遣いたい方にはおすすめです(自己責任でお願いします)。

インターネットラジオでもアンビエントを謳うものは数え切れないほどありますが、筆者はアメリカ・オハイオ州の夫婦が運営するチャンネル“Ambient Sleeping Pill”を作業中によく流しています。ネットラジオによくある広告やサウンドロゴがないだけでなく流れる音の変化の少なさも一定以下に保たれていて、集中の妨げになりません。

5 ノイズキャンセリングヘッドフォン

外からやってくる音の波と逆の波をヘッドフォンの中でぶつけて打ち消すヘッドフォンです。言ってみれば「デジタル耳栓」のようなものです。

スイッチを入れると周りの音がスーッと聞こえなくなり、慣れた頃にヘッドフォンを外すと外の音の多さに驚くほど。人や機種によっては作動中に違和感がある場合があるので、まずは家電量販店やヘッドフォン専門店で試されることをおすすめします。

スイッチを入れた状態でもまだ騒音が気になる場合はヘッドフォンから上に挙げたような音を流してもよいでしょう。ただし繰り返しになりますが、聴力を失いたくなければなるべく小さい音で流すことをおすすめします。

6 遮音(防音)グッズ

他にも、騒音が壁を伝ってくるようであればこのような遮音パネルを立てかけたり、

騒音が窓の外からであればこのような遮音カーテンを使ったり、

寝るときにはこのようなものを使うだけで改善することがあります。

7 騒音を利用する

騒音を避けるのではなく、あえてその騒音を別のかたちで利用するという手もあります。電子音楽家のKatsuhiro Chibaさんがご自身で開発されたリバーブ(残響)エンジンを使ったiPhoneアプリ「hibiku」は、iPhone付属のイヤフォンを繋いで起動すると、その場で聞こえている音に残響をつけてくれます。

教会、洞窟、コンサートホール、エコーなど残響の種類を選ぶこともでき、残響の長さや音の成分の調整なども可能です。バックグラウンドで動作するため、別のアプリを使ったりiPhoneをロックしながら音を聴き続けることもできます。

騒音だけでなく、普段何気なく聞いている音を別のかたちで再発見することのできるアプリです。

まとめ

上のどれを試してもまだ騒音に悩まされるという方は、防音工事を検討された方がいいかもしれません。

少しでもお役に立てたら幸いです。

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筆者プロフィール
profile

小山和音
こやま・かずね

オランダ在住の音楽家。「評価しない・教えない・自分たちで作る」にフォーカスしたオンラインの音楽学校、音声や音楽に特化したソフトウェア開発、音や音楽を扱うワークショップや講座、音楽レッスン、作曲・即興演奏などを本業としています。

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