Crescendo(クレッシェンド)のライブ用耳栓「Music 20(ミュージック20)」をレビューします。
Crescendoは、1947年に創立した聴覚保護を専門とするSonovaグループ(本社:スイス)の構成企業の1つであるオランダの音響フィルターメーカーDynamic Ear Company B.V.が手がける耳栓ブランドです。
Dynamic Ear Companyはオランダのデルフトを拠点とし、聴覚保護具やイヤホンなどの製品を15年にわたって開発しています。

Music 20は、日本で流通しているCrescendoブランドの耳栓の中では最も手に入りやすい耳栓です。
Crescendoの耳栓には仕事用、睡眠用、マリンスポーツ用など様々なモデルがありますが、Music 20はその中でも音楽(ライブ)用耳栓と位置付けられており、日本で手に入るライブ用耳栓の中では最も知名度の高い製品のひとつであると思われます。

日本向けのモデルとしては「Music 20」と「Music 20 S/M/L」の2種類の表記がありますが、下記のような違いがあるようです。
イヤーピースは直接耳に入る部分であり、耳の穴の大きさによって適切なサイズが変わってきますので、選択肢の多いS/M/Lの方が無難といえます。
2025年11月現在、説明書に日本語の記載はありませんが、書かれている基本的な内容はこの記事で網羅しています。
| メーカー | |
| ブランド | Crescendo |
| 製品名 | Music 20 S/M/L |
| 再利用 | 可能 |
| イヤーピース | S、M、L |
| ストラップ (首にかけられるヒモ) | なし |
| 専用ケース | 付属 |
| カラー | トランスパレント (半透明) |
| 遮音性能の測定・算出規格 | EN 352:2-2020 |
| 保証期間 | Amazon:不明 楽天:不明 |
| よい点 | 注意点 |
|---|---|
| 安い ケースの耐久性が高い | 遮音レベルが低い 高音の遮音バランスが良くない ストラップが使えない いかにも「耳栓」なデザイン ケース内部を掃除しにくい |
使い捨ての耳栓や遮音レベルの信頼性が怪しい耳栓にはいくらでも安いものが出回っていますが、遮音レベルの数値が信頼できる耳栓の中で考えると、このCrescendo Music 20 S/M/Lは最も安い価格帯に位置しています。
耳栓の製造もオランダ国内で行われていることを考えると、価格の低さが際立ちます。
予算が限られている方や予備の耳栓を持っておきたい方、一度に大量の耳栓を導入したいが信頼できる耳栓を選びたいというケースの選択肢としてよさそうです。

耳栓をキーチェーンなどに付けて持ち運ぶ方にとっては、耳栓ケースの耐久性は気になるところです。
市場に出回っている耳栓の中にはケース本体やケースと他の部分をつなぐストラップに耐久性の低い素材を使っているものがあり、その場合はキーチェーンなど摩擦が大きいところに取り付けていると破損する可能性があります。
このCrescendo Music 20 S/M/Lのケースは本体とリングどちらもアルミ製のため、通常の使用で破損することはまず考えにくいでしょう。
Crescendo Music 20 S/M/Lの遮音レベルそのものはEN 352:2-2020という規格に準拠した信頼できる数値である点は評価できますが、他社の耳栓と比べると遮音レベルの面で劣ります(比較的音を通しやすいです)。
下のグラフは、代表的な耳栓が「どの音域で、どの程度音を通しやすいか」(グラフの左に行くほど低い音域、右は高い音域、そして線が下にあるほど音を通しやすく、上にあるほど通しにくい)を表しています。
黒い線がこのCrescendo Music 20なのですが、他の耳栓と比べると全体的に線が下のほうにある、つまり音を通しやすい(遮音レベルが低い)ことがわかります。
そのため、教室の発表会や室内楽など小規模なコンサート程度であれば問題ないかと思いますが、ロックやポップスなどのライブではおすすめできません。
詳しくはCrescendo Music 20と他社の耳栓の比較記事をご覧ください。
一般的に耳栓は、音の高さによって聞こえ方が違います。
Crescendo Music 20 S/M/Lの遮音レベルの数値をグラフにしてみると4000Hz(鈴虫の鳴き声くらいの高さ)で大きな谷がみられる、つまりこの付近の音だけ聞こえやすく、2000Hz(花火が開く直前、ヒュルル音の低い方くらいの高さ)や8000Hz(キラキラした音)はそれに比べると聞こえにくい、つまり高音域の遮音バランスは期待できないといえそうです。
ヒトの耳は3000〜4000Hz付近が最も敏感な(聞こえやすい)ため、個人差はありますが多くの人が「キンキンした音が特によく聞こえる」と感じるのではと推測できます。
EN 352:2-2020規格の隣り合う周波数でこれほどの差がある耳栓を、筆者は他に認識していません。
ここまで遮音バランスに大きな偏りのある耳栓をライブで使うと、本来の音とは違った音で聞こえることになります。
耳栓の多くは、耳から外したときに毎回ケースにしまわなくとも首からネックレスのようにぶら下げておけるように設計されており、そのためのストラップが付属していたり別売りで販売されていたりします。
しかしこのCrescendo Music 20 S/M/Lにはストラップが付属せず、別売りのストラップもメーカーからは販売されていません。
耳栓を装着した状態では会話がしにくいため、ライブの演奏中以外は耳から外しておきたい方も多いのではと予想しますが、その場合は毎回耳栓をケースにしまう必要があります。
暗いライブ会場で頻繁にケースに出し入れをすると、落としたり失くしたりすることも考えられます。

近年ではLoopの耳栓のようにデザイン性・ファッション性に優れた耳栓も見られるようになりましたが、このMusic 20は「耳栓っぽさ」のあるデザインであり、ライブ会場で耳栓をすることに抵抗のある方にはおすすめできません。

本体に「持ち手」となる部分があるため取り外しのしやすさは評価できますが、この持ち手が耳の外へ大きくはみ出すかたちになります。
色は半透明のためそこまで目立つわけではありませんが、あらかじめ認識しておく必要はありそうです。

耳栓は衛生面でも気を遣いたいツールのため、耳栓を入れるケースは定期的に掃除したいものです。
Crescendo Music 20 S/M/Lの場合、縦に耳栓を重ねて入れる筒状のケースであり、指の細い方であれば指先に除菌ティッシュを巻きつけてなんとかケースの底に届くくらいの細さであり、ケース内部の清掃に関しては考慮されたデザインとはいえません。
耳栓がきつく感じたり耳から抜け落ちてしまう場合は無理に装着せず、付属するサイズ違いのイヤーピースに交換してみましょう。

イヤーピースを交換するには、本体を優しくつまんでフィルターを外し、サイズ違いのイヤーピースにフィルターをはめ直します。
フィルターはとても小さく紛失しやすいため、テーブルの上などで交換されることをおすすめします。
フィルターのロゴが表側にくるように装着してください。

清潔で密封可能な容器や袋に収納して、-10℃〜50℃の範囲を超えない環境で保管します。
付属する金属製ケースには本体が1ペア(2個)しか入りませんので、付属するサイズ違いの2ペアは別途容器や袋などを用意する必要があります。
フィルターを外した状態であれば、本体(イヤーピース)は石鹸で洗うことが可能です(ぬるま湯ですすぎ、よく乾かしてください)。
フィルター自体も洗うことは可能ですが、エタノールや石鹸、洗剤などは使わず、ぬるま湯で洗ってからよく乾かすようにします。
鋭利なものがフィルターやイヤーピースに接触しないようにしてください。
製造から3年を経過した製品の使用は推奨されていません。





Crescendo Music 20 S/M/Lは、次のような方におすすめできます。
上記にあてはまらない場合は他の耳栓の方がよいかもしれませんので、下記の記事をご覧ください。
世界にひとつだけのオリジナルの楽器をデザインし、五線譜ではない楽譜やドレミではない音律をグループで話し合って作り、それらを使って音楽をゼロから創作する音楽教育プログラムを中心に、音(楽)にまつわるユニークな取り組みをしています。お仕事のご依頼やコラボレーションのご提案など、お気軽に!