音の静かな(うるさくない)扇風機、DCモーターの扇風機は本当に静かなのかを解説します。
音の大きさは一般的にdB(デシベル)という単位で表され、その数値が小さいほど小さな音(静か)、大きいほど大きな音(うるさい)、ということを示します。
風量設定がいちばん小さい状態では運転音(最小運転音)も小さいですが、風が弱すぎて扇風機としてほとんど意味がないため、同じ風量・風速なら最大運転音が小さい方がより「静かな扇風機」に近いと言えそうです。
ただし、同じ扇風機の同じモードでも扇風機に近づくと運転音の値(dB)が大きく、離れれば小さくなるため、扇風機本体からどのくらいの距離で測定しているかが重要なのですが、測定距離を公表しているメーカーはありませんでした(おそらく表示する義務はないのでしょう)。
これはつまり、例えばA社の扇風機は1m離れたところで30dB、B社の扇風機は3m離れたところで30dB、というように測定基準がメーカーごとにバラバラなため、メーカーが公表している騒音値(dB)だけで一概に「静かな扇風機」を探すことはできないということです(同じ測定距離、同じ向き、同じ風量あたりの騒音値で比較しないと意味がありません)。
そもそも運転音を公表しているメーカーがあまりなく、公表していても最小運転音だけだったり、取扱説明書の仕様欄に小さな文字で書かれているだけというケースが多いことから、扇風機の運転音(静かさ)に自信があるメーカーはない、あるいは重視していないということがうかがえます。
ただ、これでは探しようがなく、メーカーが公表している数値でも参考程度にはなると思いますので、この記事では最大運転音を公表している各メーカーの最新機種をこのように比較してみました。
床置きのいわゆる「普通の扇風機」だけを対象として、サーキュレーターや卓上扇風機、壁掛け扇風機、シーリングファンなどは除外しています。
静かさ(風量を最大にした時の音が小さい)順に4メーカー5機種をまとめてみました。
風量が最大といっても機種によってばらつきがありますので、あわせて記載している「最大風量(どのくらいの量の風を送れるか)」と「最大風速(どのくらいのスピードで風を送れるか)」を合わせて参考にしてください。
代表的なメーカーであっても下記の扇風機には運転音の表記が見当たらなかったため除外しています。
三菱電機株式会社(東京都)のR30J-DDCは、ポールの着脱・真上も向ける首振り角度によって扇風機としてだけでなく、サーキュレーターとしても使える扇風機です。
今回ご紹介する扇風機の中では最大運転音がいちばん小さいモデルです。最大風量を見ると他の扇風機より小さく、最大風速は他の扇風機よりも速い、つまり他の扇風機よりも細くて速い風にはなるが静かな扇風機、というイメージでしょうか。
パナソニック株式会社(東京都)のF-C339Cは、温度センサーにより風量調整を自動で行える扇風機です。「おまかせ」「おやすみ」「部屋干し」の3モードを搭載し、9枚羽根により包み込むような風を生み出します。
数値を見る限り、上のR30J-DDCよりはたくさんの風を送れることがわかります。
同じくパナソニック株式会社(東京都)のF-C324Cは、上のF-C339Cの下位モデルの扇風機です。羽根の数は7枚で、風量の自動調整はできません。一般的にDCモーターよりも運転音が大きいとされるACモーターを搭載していますが、メーカー公表の最大運転音は一番風量が強い設定でもDCモーター搭載のF-C339Cと同じ43dBとのことです。
株式会社ツインバード(新潟県)のEF-E995(サーキュレーション扇風機3D Lite)は、上下・左右の首振り機能を備え、サーキュレーターとしても使える扇風機です。
パナソニックの2機種より最大風量・最大風速は小さいですが、最大運転音が大きいです。
掃除機で有名なDyson Limited(シンガポール)のPurifier Cool™️ Gen1 (TP10)は、空気清浄機能を備えた羽根のない扇風機です。
最大風量・最大風速が公表されておらず、空気清浄機能があるため他の扇風機とは直接比較できませんが、おそらく空気清浄フィルターを通るときの音が加わる分、他の扇風機よりも運転音が大きめになるのではないでしょうか(フィルターあり/なしで比較しないとなんとも言えませんが…)。
これまでの扇風機はコンセントから取った電流をそのままモーターに使う「AC(交流)」と呼ばれる方式のものが主流でしたが、最近はコンセントからの電流を直流に変換して使う「DC(直流)」と呼ばれる方式のもの(DCモーターの扇風機)が増えています。
ACモーターには基本的に「弱」「中」「強」のようなざっくりとした風量設定しかありませんでしたが、DCモーターではここが細かくなり、20段階を超える風量設定ができる製品も珍しくありません。
しかし扇風機の音はファン(羽根)やファンガード(グリル)の風切り音、モーター音など風を起こす部品から発生することを考えると、風量が弱いほど運転音も小さくなります。
ACモーターの「弱」よりずっと弱い風量設定ができるようになったことで、自然とその扇風機の最小運転音も小さい値になり、結果として「DCモーターは静か」という認識につながったのではないかと考えています。
モーター以外の構造(ファンやファンガードの形状)がまったく同じで、かつ最小運転音・最大運転音の両方を公表しているメーカーがあれば、DC扇風機はAC扇風機より静かであるか判断できたのですが、残念ながら今回の調査ではわかりませんでした。
扇風機本体を何かで覆うと扇風機の意味がなくなる(風が届かなくなる)のでその方法はとれませんが、それほど低い成分の音は含まれていないため、耳栓でも簡単に遮音することができます。
耳栓の選び方やおすすめの耳栓については、こちらの記事で解説しています。
世界にひとつだけのオリジナルの楽器をデザインし、五線譜ではない楽譜やドレミではない音律をグループで話し合って作り、それらを使って音楽をゼロから創作する音楽教育プログラムを中心に、音(楽)にまつわるユニークな取り組みをしています。お仕事のご依頼やコラボレーションのご提案など、お気軽に!