audio-technica(オーディオテクニカ)のコンデンサーマイク「AT4040」についてレビューします。AT4040の使い方、audio-technicaのAT2020との違いについても解説します。

audio-technica(オーディオテクニカ)は東京都町田市に本社をおき、世界各国でプロフェッショナル向け/コンシューマー向けのマイクやヘッドホン、イヤホンなどの音響機器を展開している日本の老舗企業です(創業は1962年)。
特にレコーディングや楽曲制作の業界ではその名前を知らない人はいないほどの有名な企業であり、世界各国の現場から支持されています。
そのaudio-technicaが開発したAT4040は、2002年の登場から20年以上にわたり親しまれてきた、同社を代表するコンデンサーマイクの1つです。
AT4040を含めたaudio-technicaのAT40シリーズはすべての部品や本体の組み立てを日本国内の自社工場で行っている「純国産マイク」であり、完成した個体の品質や特性を1台ずつ検査してから出荷するという徹底した品質管理により、安定性と信頼性を担保しています。
こういった工程は通常ハイエンド(高価格帯)のマイクに対して行われるもので、それをこの価格帯で実現してしまったところにAT4040の強みがあります。

audio-technicaが公開している周波数特性(どの高さの音をどの程度拾うか)グラフによると、AT4040は5〜8kHzあたりと10〜15kHzあたりの音に少し敏感であるように描かれているため、明るめの音と感じるケースがあるかもしれませんが、低〜高域(5kHzあたりまで)にかけては非常にバランスがよい特性です。
本体には2つのスイッチを搭載しています。

80Hzのローカットスイッチ:左側(√のような形のほう)にセットすると、80Hz周辺より低い音を減らして収音します。エアコンなどの風がマイクに当たることで発生するノイズが気になる場合に使います。

-10dBのPADスイッチ:「-10dB」側にセットすると、入力音量を10dB抑えます。145dBを超えるような大きな音を録りたいときに使います。

マイク自体のオン・オフスイッチは搭載されていません。
ライブ配信から音楽制作まで幅広く活用でき、コストパフォーマンスのよいマイクですので、1本持っておけば本格的な配信や録音をするようになっても末永く愛用できるでしょう。
最初の1本としてもおすすめです。
| メーカー | |
| 製品名 | AT4040 |
| 方式 | コンデンサー(DCバイアス型) |
| 指向性 | ![]() カーディオイド |
| レンジ [Hz – kHz] | 20 – 20 |
| 感度 [dBV] | -32 |
| セルフノイズ [dB SPL] | 12 |
| S/N比 [dB] | 82 |
| 最大入力音圧 [dB SPL] | 145 – 155 |
| インピーダンス [Ω] | 100 |
| ローカットスイッチ | あり (80Hz) |
| ショックマウント | 付属 |
| ポップガード | なし |
| 端子 | XLR |
| 長さ [mm] | 170.0 |
| 最大部の直径 [mm] | 53.4 |
| 重量 [g] | 360 |
AT4040と同じ価格帯で人気のコンデンサーマイクと比較してみました。
ただ、実際どのような音で録れるかはスペックからは見えづらく、組み合わせるケーブルやオーディオインターフェース、電源、録音を行う部屋の特性など様々な要素が影響するため、あくまでも参考程度にお考えください。
マイクがどの方向から届いた音を拾うかを「指向性(しこうせい)」と呼びます。
円形の図(ポーラーパターン)は、円の中央にマイクを置いて上から見たときどの方向の音を拾うかを表していますが、この形はマイクによって異なります。
| 指向性の分類 | ポーラーパターン (一例) | 呼び方 |
|---|---|---|
| 単一指向性 | ![]() | ウルトラカーディオイド (ショットガン) |
| 単一指向性 | ![]() | ハイパーカーディオイド |
| 単一指向性 | ![]() | スーパーカーディオイド |
| 単一指向性 | ![]() | カーディオイド |
| 単一指向性 | ![]() | サブカーディオイド |
| 無指向性 | ![]() | オムニダイレクション |
| 双指向性 | ![]() | バイダイレクション |
例えば無指向性(オムニダイレクション)のマイクはマイクを向けている方向に関係なくどの方向から届いた音も拾いますが、単一指向性の中でもウルトラカーディオイド(ショットガン)に分類されるようなマイクは非常に狭い範囲(マイクを向けた方向)の音だけを取り出すように拾います。
AT4040は単一指向性(カーディオイド)に分類され、同価格帯で人気のコンデンサーマイクと同じ指向性です。
マイクが拾うことのできる音の高さの範囲を周波数特性と呼び、ヘルツ(Hz)で表します。下の数値が低く、上の数値が高いほど、低い音から高い音までまんべんなく拾うことができます。
AT4040は20Hz〜20kHz(20,000Hz)と、ヒトに聞こえる音はすべてカバーしています。
マイクの「音の拾いやすさ」を感度と呼び、dBV(ディービーブイ)で表します。この数値が高い(0に近い)ほどマイクで拾う音が大きくなります。
AT4040も-32dBVと、同価格帯のマイクと同じ水準です。
コンデンサーマイクでは、音を入れていない(無音の)状態でもマイク自体から雑音が発生します。その雑音の大きさをセルフノイズレベルや等価雑音レベルと呼び、デシベル(dB SPL)で表します。この数値が小さいほど雑音の少ない音で録ることができます。
AT4040は12dB SPLと、同価格帯のマイクと比べるとやや高めですが、よほど小さい音を録ったり無音が多く含まれる録音をしない限りは気になるレベルではないと思います。
基準となる音を拾ったときの大きさと、音を入れない状態でマイク自体から発生する雑音の大きさの比率をS/N比(エスエヌひ)と呼び、デシベル(dB)で表します。この数値が高いほど雑音の少ない音で録ることができます。
AT4040は82dBと、同価格帯のマイクと同じ水準です。
マイクが(音を歪ませずに)受け入れられる音の大きさの限界値を最大入力音圧と呼び、デシベル(dB SPL)で表します。
これを超える大きさの音をマイクに入れてしまうと、音が歪みます。
PADスイッチがあるマイクでは、PADスイッチをオンにしたときにこの最大入力音圧が上がります(より大きな音も録れるようになります)。
AT4040はPADスイッチがオンの状態で155dB SPLと、同価格帯のマイクの中でも比較的大きな音が録れるマイクであることがわかります。

AT4040はパソコンやスマホへ直接接続できないだけでなく、ファンタム電源と呼ばれる外部電源を供給しなければ動作しないため、「オーディオインターフェース」と呼ばれる機器が必要です。
AT4040に合うオーディオインターフェースとしては、次のようなものがあります。
詳しくはこちらの記事でご説明しています。

AT4040とオーディオインターフェースを繋ぐためには、片方にXLR(メス)、もう片方にXLR(オス)端子がついたマイクケーブルが必要です。

ケーブルにもそれぞれ個性がありますが、日本の音響機器用ケーブルメーカーMOGAMI(モガミ電線)の2549はクセのないクリアな音が特徴ですので、AT4040の良さを引き出せるケーブルだと思います。
長さは、AT4040とオーディオインターフェースの間がどのくらいの距離になりそうかに合わせて選んでみてください。

AT4040を手で持って使うと大きなノイズが乗ってしまうため、マイクスタンドも必要です。
筆者はAT4040用に、音響機器のスタンドメーカーとして有名なドイツのKönig & Meyer(K&M)の252Bというマイクスタンドを使っています。

人の声を収録したときに、パ行(パピプペポの音)を発音したときに空気のかたまりがマイクに当たって「ボフッ」というノイズ(ポップノイズ、「吹かれ」)が乗ることがあります。
これが気になる場合は、マイクと口の間にポップガード(ポップフィルター、ポップスクリーン)という網を立てる(マイクスタンドやショックマウントに取り付ける)ことで軽減することができます。
AT4040にはポップガードは付属しませんので、別途用意する必要があります。

録音・配信しようとしている音が歪んでいないか、どのような音でマイクに拾われているかなどをチェック(モニタリング)するには、スピーカーではなくヘッドホンを使います。
スピーカーを使ってモニタリングをすると、スピーカーから出た音をマイクが拾ってしまうことで音声が二重に聞こえたり、その音がまたスピーカーから出てマイクに拾われ…というループ(ハウリング)が起こることで「キーン」というノイズが発生する可能性があるためです。
また、ヘッドホンには本体から音を逃がす構造の「開放型」とそうでない「密閉型」が存在しますが、録音や配信のモニタリングの場合は、ヘッドホンから出た音がマイクに拾われて音声が二重に聞こえてしまうことがないように「密閉型」のヘッドホンを選びます。
AT4040のメーカーaudio-technicaはヘッドホンの分野でも世界的に有名で、AT4040を使った録音・配信のモニタリング用途であれば、密閉型であるATH-M20xやATH-M50xなどが適切です。
予算が限られている方はエントリーモデルであるATH-M20x、余裕のある方は上位モデルであるATH-M50xが選択肢になります。
ヘッドホンについて詳しくはこちらの記事で解説しています。

一般的にAT4040を含めたコンデンサーマイクは感度が高く、マイクスタンドに直接固定してしまうとそのマイクスタンドが置かれている部屋の床を伝わってくる音(足音など)やマイクスタンドに触れたときの音を一緒に拾ってしまうことがあります。
そのような場合はマイクホルダーにあたる部分をショックマウントと呼ばれる部品に交換することで、マイクスタンド側からの振動がマイクに伝わりにくくなり、意図しない音が入ってしまうのを防ぐことができます。
AT4040にはAT8449aというショックマウントが付属するため別途用意する必要はありませんが、破損や紛失した場合などは下記から個別に買い直すことも可能です。
一例として、ヤマハのオーディオインターフェース「UR22MK3」と組み合わせて使用する前提でご説明します。

マイクスタンドのネジ部分にショックマウントの溝を合わせて回し、固定します。
ネジのサイズが合わないときは、AT4040付属の変換ネジを間にかませてください。
AT4040付属のショックマウント側のネジ穴は5/8インチ(SHURE規格)のため、スタンド側も同じ5/8インチであれば取り付けられますが、スタンド側が3/8インチ(AKG規格)の場合はAT4040に付属する変換ネジを使います。


ショックマウントの2本のベルト(写真の赤い部分にあるベルトです)でAT4040本体をはさみ込むように取り付けます(旧式ショックマウントの場合)。
筆者のショックマウントは旧式のAT8449(aが付かない)であるため、現行のショックマウント「AT8449a」と一部構造が異なります。

録音・配信の際、AT4040は上からではなく横から音が入るように使います(audio-technicaのロゴを音源に向けるようにしてください)。×の方向からでも音は録れることは録れますが、本来の性能をまったく活かせません。


オーディオインターフェース(ミキサー)のGAINがいちばん絞った状態(ゼロ)になっていることを確認します。
GAIN(マイクの入力音量)を上げた状態でファンタム電源を操作したり、ファンタム電源が入った状態でマイクケーブルの抜き差しを行うと機器が壊れてしまう可能性がありますのでご注意ください。

ケーブルから振動が伝わらないようにするのと、万が一AT4040がショックマウントから抜け落ちた場合に落下しないように、マイクケーブルをマイクスタンドに絡ませてAT4040にマイクケーブル(穴があいている側)を接続します。
ケーブルによっては固くて差し込みづらい場合があるかもしれませんが、カチッと感触があるまで確実に差し込んでください。
この時点でこのような状態になります。

下から見ると、このようにAT4040本体が宙吊りのような状態になります(この宙吊りにより、意図しない振動を吸収します)。

すべて黒色なのでわかりづらいですが、マイクスタンドにショックマウントが取り付けられ、ショックマウントの中央にAT4040が固定され、AT4040の底の部分にマイク(XLR)ケーブルが接続されるかたちになります。


オーディオインターフェース(ミキサー)に、AT4040に接続したマイクケーブル(金属の棒が3本出ている側)を接続します。

オーディオインターフェース(ミキサー)の電源を入れます。
バスパワーで動作する(外部の電源アダプタなどを必要とせず、パソコンやスマホからの電源だけで動作する)オーディオインターフェースであれば、通常はパソコンやスマホにUSBケーブルで接続するだけで電源が入ります。
ただし次の手順で登場する「ファンタム電源」を使うと電力が不足する可能性があるため、この時点でオーディオインターフェースに別途外部電源を供給しておくと確実です。

写真のYamaha UR22MK3の場合は、本体裏面の「5VDC IN」端子に、USB電源アダプタに繋がったUSB-Cケーブル(スマホの充電に使用するようなもの)を接続します。

オーディオインターフェース(ミキサー)にあるファンタム電源のスイッチをオンにします。
AT4040はDCバイアス型コンデンサーマイクと呼ばれるタイプのマイクであり、動作させるには外部電源(ファンタム電源)を供給する必要があります。
ファンタム電源は、マイクを接続できるオーディオインターフェースやミキサーであれば基本的に搭載されていますが、念のため取扱説明書を確認してください。
48Vの電圧で供給されるものが主流のため、ファンタム電源のスイッチは「48V」という表記になっていることもあります。
ヘッドホンを使用する場合は、この時点でオーディオインターフェース(ミキサー)に接続しておきます。

マイクに向かって音を出しながらオーディオインターフェース(ミキサー)のGAINをゆっくりと上げて、PEAKランプが点灯する(UR22MK3の場合はマイク端子の上のインジケーターが赤く点灯する)直前くらいにセットしたら、準備完了です。録音や配信を始めます。
録音や配信が終わったら、セッティングとは逆の手順で片付けます。
AT4040を含め、一般的にコンデンサーマイクは湿気に弱いため、取り扱いには注意が必要です。
詳しくは下記の記事で解説しています。

AT4040を含め、一般的にコンデンサーマイクは衝撃にも弱いため、持ち運ぶ場合は付属のケース(クッション付き)に入れることをおすすめします。
また、ステージ上のライブなどマイクを動かしたり落としたりするような環境での使用は想定されていませんので、使用中も落としたり物をぶつけたりといった衝撃を与えないようにご注意ください。

AT4040はAmazonや楽天でも買うことができますが、あわせて価格をチェックしておきたいのが日本の楽器・音響機器の総合販売店であるサウンドハウスです。
オンラインで楽器や音響機器を買おうと思ったらサウンドハウスなしでは考えられないほど、関係者の間では定番の販売店です。
商品購入後14日以内に、他店でその商品がサウンドハウスより安く販売されている場合、差額を返金、もしくは次回利用時に割引する「最低価格保証」があります。
audio technica ( オーディオテクニカ ) / AT4040AT4040は、同じくaudio-technicaの大人気コンデンサーマイクであるAT2020の上位機種にあたります。
スペックで比較するとわかりますが、AT2020はAT4040と比べて
という違いがあります。
| 発売 | 指向性 | レンジ [Hz – kHz] | 感度 [dBV] | セルフノイズ [dB SPL] | S/N比 [dB] | 最大入力音圧 [dB SPL] | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2002年 | カーディオイド | 20 – 20 | -32 | 12 | 82 | 145 – 155 | |
| 2004年 | カーディオイド | 20 – 20 | -37 | 記載なし | 71 | 144 |
audio-technicaが公開している周波数特性チャート(どの高さの音をどの程度拾うか)を比べてみると、このような違いがありました。
音源とマイクの距離や音源とマイクの軸の角度によって変化するため、実際に使用する環境ではこのとおりになるとは限りませんので、あくまでも参考程度にお考えください。
AT4040が予算オーバーの方は、まずはAT2020から入り、ステップアップとして将来的にAT4040を考えてみるというのも良いかもしれません。
国産マイクの決定版ともいえるAT4040。
最初の1本としておすすめです。
世界にひとつだけのオリジナルの楽器をデザインし、五線譜ではない楽譜やドレミではない音律をグループで話し合って作り、それらを使って音楽をゼロから創作する音楽教育プログラムを中心に、音(楽)にまつわるユニークな取り組みをしています。お仕事のご依頼やコラボレーションのご提案など、お気軽に!